10.WISE Routing
WISE:Weather Information for Safety and Economy
WISEルーティング は、ソフトウエア(以下WISEソフト)をご使用のPCにインストールすることにより、INMARSATデータ通信や無線LANを利用して、いつでもご希望の海域の最新の気象・海象情報を取得し、それを用いて最適航路が計算できるシステムです。
希望する海域と、風や波、海流等の予報データの種類を選択し、WISEソフトで作成される要求ファイルをEメールで陸上サーバーへ送信することにより、気象・海象情報を取得します。
陸上サーバーから送られるデータファイルをWISEソフトに読み込むことにより、様々な気象・海象情報をわかりやすく表示することができます。WISEソフトには「船上シミュレーション」機能が組み込まれており、本船の船体データベースと取得した気象・海象予報を用いて、目的地までの最適航路(最短時間航路または最少燃料航路)を計算することができます。
さらに、船長航路(船長が任意に設定した航路)の航海時間や燃料消費量を計算し、最適航路の値と比較することができます。
・WISEルーティングの特徴1.気象・海象予報
最新の気象・海象予報が、複数の予報機関から提供されます。
- 全球の風/海面気圧、波、500hPa等圧面高度、気温 : 8日先までの予報(12時間間隔、6時間ごとに更新)
- 日本沿岸の風、波 : 3日先までの予報(3時間間隔、6時間ごとに更新)
- 海流、海面水温、海氷 : 実況値(毎日更新)
- 台風・ハリケーン・サイクロン : 進路/暴風圏の予報(6時間毎に更新)
2.船体データベース
WISEソフトには、波浪中における船速、船体運動、およびエンジン出力を計算するため、船別のデータベースが組み込まれています。
3.迅速な情報提供
船から気象・海象要求が送信されると、最新の気象・海象情報のデータファイルがおよそ10分後に、Eメールにより提供されます。
4.豊富な表示機能
気象・海象情報をわかりやすく表示し、あらゆる気象・海象データを重ね合わせて表示することが可能です。
5.船上シミュレーション
以下の2種類のモードで最適航路(最短時間航路または最少燃料航路)を計算し、船長航路(船長が設定した航路)と比較することができます。
5.1 固定ピッチプロペラ船の場合
- RPM指定モード: プロペラ回転数を指定することにより、航海時間と燃料消費量を計算します。(最短時間航路はRPM指定モード)
- ETA指定モード: 目的地への到着日時を指定することにより、プロペラ回転数と燃料消費量を計算します。(最少燃料航路はETA指定モード)
5.2 可変ピッチプロペラ船の場合
- PPA指定モード: プロペラピッチ角を指定することにより、 航海時間と燃料消費量を計算します。(最短時間航路はPPA指定モード)
- ETA指定モード: 目的地への到着日時を指定することにより、プロペラピッチ角と燃料消費量を計算します。(最少燃料航路はETA指定モード)
- 海上風及び海面気圧予報
- 波浪予報
- 海流予報
- 航路上の通過点における気象・海象の情報 および 航路の詳細情報
- 航路上の海上風予報
- 航路上の波浪予報
- 航路上の海流予報
- 航路の概略表・比較表
▲海上風 / 海面気圧予報の表示例
▲波浪予報の表示例
▲海流予報の表示例
▲最少燃料航路シミュレーションの例 (サンフランシスコ→東京)
コンテナ船 指定航海時間:240時間 海上風予報を重畳
MFR:最少燃料航路 CR1, CR2, CR3:船長航路
▲最少燃料航路シミュレーションの例 (サンフランシスコ→東京)
コンテナ船 指定航海時間:240時間 波浪予報を重畳
MFR(最少燃料航路)は、CR1, CR2, CR3(船長航路)に比べ、
燃料を16.9トン(1.6%)、103.5トン(9.1%)、190.2トン(15.5%)節約できた。
▲最短時間航路シミュレーションの例 (漁場→銚子)
かつお漁船 エンジン回転数:320 rpm 海流予報を重畳
MTR(最短時間航路)は、黒潮の逆流を避けることにより、CR1(船長航路)に比べ、
航海時間を6.6時間(10.9%)短縮し、燃料を1.99 kL(9.9%)節約できた。
▲最少燃料航路シミュレーションの例 (漁場→銚子)
かつお漁船 指定航海時間:60時間 海流予報と等時間曲線を重畳
MFR(最少燃料航路)は、黒潮の逆流を避けることにより、CR1(船長航路)に比べ、
燃料を5.72 kL(28.5%)節約できた。
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